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再就職手当とは?いくらもらえる?受給条件やもらい方も紹介
公開日:2025.02.03
更新日:2025.02.03
再就職手当とは、失業保険を受給中の方が早い段階で再就職を決めた場合、受け取りが可能な手当です。生活の安定に役立つ、課税対象とならないなどのメリットがあるため、ご自身が受給条件に当てはまるかどうか確認することをおすすめします。
本記事では、再就職手当のもらい方や条件、メリット・デメリット、いくらもらえるのかといった具体的な計算方法について解説します。
再就職手当とは
再就職手当とは、失業保険の受給資格者が早期に再就職を決めた場合に支給される、一時金の給付制度です。まずは再就職手当の目的と失業手当との違いについて紹介します。
| 再就職手当の目的
再就職手当は、雇用保険の受給資格者の早期再就職促進を目的に支給される給付金です。失業状態が長引くと、再就職が難しくなることに加え、生活基盤の不安定化、社会的孤立などのリスクが高まることから、再就職の支援を目的に設定されています。
そのため、失業手当の残り給付日数が多い段階で、再就職を決めた人ほど、再就職手当が高額になる仕組みです。3分の2以上の場合は基本手当の支給残日数の70%、3分の1以上の場合は60%の額と設定されています。
早期に新しい職場を見つけ、スムーズに再スタートを切りたい人にとっては、大きなメリットとなる制度です。
| 失業手当との違い
再就職手当と失業手当の主な違いは、支給のタイミングと目的です。失業手当は、失業中の生活を支えることを目的に、一定期間支給される給付金のため、求職活動中の生活費を補う役割があります。失業手当の給付には、求職活動の実績が必要です。
一方、再就職手当は、失業手当の受給期間中に早期就職をした場合に、残りの給付日数に応じた金額が一括で支給されるものです。条件を満たした再就職を達成した場合、支給されます。
失業手当は「失業中の生活支援」、再就職手当は「早期就職のインセンティブ」としての位置付けであり、目的や条件が異なる点が特徴です。
再就職手当を受給するメリット
再就職手当の受給には、生活の安定を含む4つのメリットがあります。例えば、再就職手当は、非課税扱いのため、所得税や住民税に影響を及ぼしません。具体的なメリットについて、解説します。
| 生活が安定しやすくなる
再就職手当は、一括でまとまった金額を受け取れる受給方法です。さらに、再就職先の給与と合わせて、経済的な余裕が生まれるため、生活の安定が図れます。新しい職場までの通勤費、生活環境の変化に伴う費用に充てることも可能です。
失業中に減った貯蓄の補填も有効な手段と言えるでしょう。特に早期に再就職を決めた場合、支給残日数に伴い、受給額が増加するメリットがあります。
失業中は失業保険以外の収入が途絶えることから、精神的な不安が募る可能性も高まります。再就職手当の受給は、精神面の安定にもつながるメリットの大きな手段です。
| 所得税や住民税の課税対象とならない
再就職手当は、失業保険(基本手当)と同様、所得税や住民税の課税対象外です。通常の給与やボーナスは、税金が引かれるため、手元に残る金額は額面よりも少なくなります。
しかし、再就職手当は非課税のため、金銭的な負担を感じることなく受給できることが特徴です。再就職後の生活費などに充てることができ、経済的な安定の後押しにも役立ってくれます。
ただし、社会保険は別です。「1年間の見込み収入130万円以内」に該当しなくなると、扶養から外れる(被扶養者とみなされなくなる)可能性があるため、注意が必要です。
| 再就職先を退職した場合でも失業保険を申請できる
再就職手当を受給した後に、再就職先をやむを得ず退職した場合でも、条件を満たしていれば、失業保険(基本手当)の再申請は可能です。
ただし、前回の失業保険の支給残日数はリセットされています。再度、失業保険を受給したいと考えるのであれば、再就職先で雇用保険の被保険者期間を一定期間以上満たさなければなりません。
また、厚生労働省によりますと、再就職手当の受給するためには「離職日から3年以内に再就職手当を支給されていないこと」が必須条件です。つまり、他の受給要件を満たし、かつ前回受給から3年以上経っていれば、何度でも再就職手当が受給できます。
| 再就職手当は返金の必要がない
一度受給した再就職手当は、原則として返金の必要がありません。万が一早期退職を余儀なくされたとしても、手当金の返還要求をされるわけではないため、不安に感じる必要はありません。再就職手当は、再就職を促進するための手当であり、求職者が安心して利用できるようにと設計された制度だと理解し、安心して活用しましょう。
ただし、虚偽の申告などの不正受給が発覚した場合は、返還を求められたり、悪質な場合は最大2倍の納付が命じられたりするケースがあります。不正受給は絶対にやめましょう。
再就職手当を受給するデメリット
一見メリットばかりの再就職手当ですが、再就職手当の受給にはデメリットも存在します。3つのデメリットを理解したうえで、受給の有無を検討しましょう。
| 失業手当が受け取れなくなる
再就職手当を受給すると、 就職日以降の失業手当(基本手当)の受給資格は消滅します。早期に就職を決めたことで、一時金として再就職手当を受け取れるメリットがある一方、失業手当を毎月一定額ずつ受け取るという選択肢が消えることになります。
再就職後、予期せぬトラブルで再び失業した場合、前回の失業手当の残日数を利用することはできません。再就職手当の受給の際は、新しい職場で安定して働けるかどうか、慎重に判断することが大切です。
ただし、再就職先で一定期間以上の雇用保険の被保険者期間を満たし、さらに他の受給要件を満たすことで、再就職手当の再受給も可能です。
| 焦って再就職先を決めてしまう可能性がある
再就職手当は、待機期間を終えた時点からできるだけ早く再就職を決めることで、多くの金額を受給できる仕組みです。そのため「早く就職しなければ」「早く仕事を決めなければ、受給額が減る」と、焦って検討不十分なまま、再就職先を決めるリスクがあります。
自分の希望条件に合わない職場や、長期的に働き続けることが難しい環境を選んでしまうと、再就職後のミスマッチ、業務内容や職場環境への不満、早期退職につながる可能性が高い点に注意が必要です。
再就職手当は、生活支援に役立つ制度ではあるものの、適性や職場環境を十分に確認したうえで、再就職先を決めるようにしましょう。
| 再就職手当の基本手当日額には上限がある
再就職手当の支給額を計算する際には、失業手当の基本手当日額を使用します。しかし、基本手当日額には法律で定められた上限があるため、離職前の給与水準が高かった人は「再就職手当の支給額が想定より少ない」「期待していたほど高額ではない」と感じる可能性があります。
上限額が決まっていることを理解したうえで、自分はいくらもらえるのか、計算式を用いて調べておきましょう。そのうえで、再就職手当が自分にとって本当に有益かどうかを冷静に判断する必要があります。
自分の生活基盤と比較しながら、最後まで失業保険を受給しながら再就職先を目指すこともひとつの方法です。
再就職手当の受給条件
再就職手当を受給するには、いくつかの条件を満たす必要があります。以下に主な受給条件をまとめました。
1. 雇用保険の基本手当を受給できる資格があること
2. 基本手当の支給残日数が所定日数以上あること
3. 雇用期間が1年以上見込まれること
4. 再就職先が以前の離職理由に関連しないこと
5. 待機期間が終了していること
6. 安定した就職とみなされること
7. 待期満了後の1ヶ月間は、ハローワークまたは職業紹介事業者を通じた就職であること
8. 過去3年以内に、同様の手当を受けていないこと
また、当然ですが、再就職手当支給日よりも前の離職も厳禁です。支給決定日以前の離職は、受給資格を失います。
再就職手当はいくらもらえる?
再就職手当がいくらもらえるのかは、基本手当の支給残日数や年齢によって異なります。自分が一体いくらもらえるのかを知るために、計算方法と支給金額の例について解説します。
| 再就職手当の計算方法
再就職手当の支給額は、失業保険(基本手当)の残日数と基本手当日額に基づいて計算します。
計算式は、以下の通りです。
支給額 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率
・基本手当の支給残日数が3分の2以上:給付率70%
・基本手当の支給残日数が3分の1以上:給付率60%
※「所定給付日数」は、離職時の年齢や勤続年数、離職理由に応じて決定されます。
支給額には、基本手当日額の上限が適用されます。離職時の年齢が60歳未満の場合は6,395円、60歳以上65歳未満の場合は5,170円です。これらは2025年7月31日までの金額であり、毎年8月1日に改定されます。
| 再就職手当の支給金額の例
例:支給残日数が所定給付日数の3分の1未満の場合(給付率60%)
基本手当日額:6,000円
所定給付日数:90日
支給残日数:30日
計算式:6,000円 × 30日 × 60% = 108,000円
例:基本手当日額が上限額を超える場合
基本手当日額:7,000円(上限額に調整:60歳未満は6,395円)
所定給付日数:120日
支給残日数:80日
計算式:6,395円 × 80日 × 70% = 358,120円
※基本手当日額が上限額を超えているため、上限額で計算が行われます。
支給残日数が一定期間残っていないと、再就職手当は受給できません。再就職手当を狙う場合は、残日数に注意が必要です。
再就職手当のもらい方
再就職手当をもらうためには、必要書類を用意し、ハローワークに行く必要があります。再就職手当の申請期間を意識し、手順を理解したうえで準備を進めましょう。
| 「採用証明書」を提出する
再就職先が決定したら、再就職先の事業主に依頼し「採用証明書」への記入・捺印をしてもらいます。採用証明書は、ハローワークから受給資格者に配布される「受給資格者のしおり」に含まれていますが、紛失した場合は、ハローワークのWebサイトからダウンロード可能です。
印刷の際は、必ず等倍(100%)とします。倍率が異なる場合、ハローワークで受理されない可能性があるため注意しましょう。
採用証明書がなければ、再就職手当の申請が進められないため、再就職が決まった時点で早めに手続きを行うことをおすすめします。必要書類や提出方法に関する不明点がある場合は、ハローワークに相談することでスムーズに進められます。
| ハローワークから「再就職手当支給申請書」を受け取る
最寄りのハローワークに行き「再就職手当支給申請書」を受け取ります。または、ハローワークのWebサイトからダウンロードも可能です。PDF等で印刷し、手書きで書き込む方法と、内容をパソコン上で打ち込んだうえで印刷する方法があります。
記入方法や提出期限、再就職手当の受給条件を満たしているかどうかなど、確認したいことがある場合は、ハローワークに行き、担当者から説明を受けておくとより安心です。または、再就職先が決定した時点で、相談しておいても良いでしょう。
| 「再就職手当支給申請書」を再就職先に提出する
ハローワークから受け取った「再就職手当支給申請書」を再就職先の事業主に提出します。申請書の一部(雇用形態や雇用期間、賃金など)の欄は、事業主に記入してもらう必要があります。その際には、再就職先の会社と、前職の会社が無関係であることを証明する書類にも、記入を依頼しましょう。
会社によっては、作業に時間がかかる可能性があるため、再就職が決まった時点で、早めの依頼がおすすめです。書類が完成したら、抜けや漏れがないかを確認し、次の手続きへと進みます。
| 揃えた書類をハローワークに提出する
「採用証明書」や「再就職手当支給申請書」を含め、必要書類がすべて揃ったら、ハローワークに提出します。担当者によって、提出書類の不備がないかどうか確認されるため、事前にしっかりと内容をチェックしておきましょう。
仮に記入漏れなどがあった場合、再度、再就職先の企業に記入を求める必要があるため、申請が遅れてしまいます。
ハローワークでの審査が完了し、問題がないと判断されれば、後日再就職手当が指定の口座に振り込まれます。審査や支給には想定外の時間がかかる場合もあるため、早めの準備が重要です。また、場合によっては、勤務先でのタイムカードの提出など、追加の書類が求められるケースもあるため、審査中にハローワークから連絡があった場合は、速やかに対応しましょう。
再就職手当は派遣でももらえる
再就職手当は、失業者が早期に安定した職に就くことを促進するための制度です。再就職手当の受給は、生活の安定につながる一方、焦って希望に沿わない就職先を決めてしまうと、早期離職のリスクがあります。
再就職手当は条件を満たせば、派遣社員でも受給可能です。再就職手当を受給し、派遣社員として働こうと考えている方は、ワポティのサイトをチェックしてみてください。
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