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派遣社員からの直接雇用とは?メリットと切り替えてもらうためのコツ
公開日:2024.04.01
更新日:2024.04.02
派遣社員には、派遣として働き続けるだけでなく直接雇用という選択肢もあります。将来のキャリアアップや安定した生活を目指すためには、直接雇用について詳しく知っておくことがおすすめです。
本記事では直接雇用とは何かを紹介し、メリット・デメリットや直接雇用されやすくなる方法、コツなどについて解説します。
目次
派遣スタッフからの直接雇用とは
直接雇用とは、就業先の企業が派遣スタッフを雇用することです。
基本的に、派遣スタッフは派遣会社に雇用されます。しかし、派遣先の企業によっては、派遣スタッフを「直接雇用したい」と考える場合もあります。直接雇用は労働者派遣法第33条に基づいていれば、違法ではありません。
直接雇用された場合、雇用主は派遣会社ではなく就業先の企業となります。福利厚生などの待遇も、雇用主である企業の規則が適用されます。
そもそも派遣スタッフとは
中には「直接雇用と派遣は、そもそも何が違うのだろう」と疑問を持つ方もいるでしょう。そこで、ここでは派遣に関する次の点を解説します。
- ・派遣スタッフの特徴
- ・派遣スタッフの就業形態
- ・派遣スタッフの勤務期間
| 派遣スタッフの特徴
派遣スタッフとは、派遣会社が雇用する従業員のことです。正社員と違い、就業規則や雇用形態は派遣会社に基づきます。
派遣スタッフには、派遣ならではのさまざまな法律が適用されます。代表的なものの一つが「3年ルール」と呼ばれるものです。法律では、派遣スタッフには派遣可能期間が設けられています。
このような法律から、一つの組織で働けるのは原則として「3年」とされています。
| 派遣スタッフの就業形態
派遣スタッフの就業形態は、一般的に次の3つに分けられます。
- ・一般派遣
- ・紹介予定派遣
- ・常用型派遣
一般派遣は登録型派遣などとも呼ばれ、派遣会社が労働者を雇用する最も一般的な派遣の形態です。派遣会社が雇用主となり、派遣先の企業で働きます。
紹介予定派遣は派遣先企業で6ヶ月働いたのち、双方合意のもとで直接契約を交わします。
常用型派遣は無期雇用派遣とも呼ばれる、雇用期間の定めがない雇用形態です。いわゆる「3年ルール」の適用外であるため3年を超えても同じ組織で働くことができるうえに、契約が終了しても派遣会社から給与が支給されます。
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| 派遣スタッフの勤務期間
原則として、派遣スタッフが一つの事業所で働けるのは3年と決められています。3年の期間には、個人単位の期間制限と事業所単位の期間制限が定められています。
個人単位の期間制限は、派遣先の事業先において、同じ事業所に派遣できる期間は3年が上限です。事業所単位の期間制限は、勤務先が派遣スタッフを3年以上受け入れようとする場合、派遣先の過半数労働組合などに意見を聞く必要があります。
※参考:厚生労働省|派遣で働く皆様へ
個人単位の期間制限の例外について
以下に当てはまる場合は、例外として期間制限の対象外になります。
- ・派遣元で無期雇用されている派遣労働者
- ・60歳以上の派遣労働者
- ・有期プロジェクト業務を担当
- ・日数限定業務を担当
- ・産前産後休業、育児休業、介護休業などを取得する労働者の業務を担当
※参考:厚生労働省|派遣社員を受け入れるときの主なポイント
上記に当てはまらない派遣スタッフは、1つの事業所で3年以上働けません。ただし、同じ企業であっても別の部署は異なる職場の扱いになるため、3年ルールは適用外です。
事業所単位の期間制限の意見聴取手続きについて
原則として派遣先企業は、3年以上派遣社員を受け入れられません。同じ派遣スタッフが3年間働く場合に限らず、途中で別の派遣スタッフに切り替わっても通算で3年を超えてはいけません。
ただし、意見聴取手続で労働組合が許可を出した場合、期間を延長できます。労働組合がなければ、労働者の過半数を代表する方の意見を聴きます。
現在の日本企業では労働組合の多くが許可を出しているため、事業所単位の期間制限が適用される機会はほとんどありません。
派遣スタッフから直接雇用されるメリット
直接雇用されるメリットは次のとおりです。
- ・待遇の格差が小さいまま働ける
- ・同じ企業で長く働ける
- ・スキルアップができる
- ・安定して働ける
それぞれ解説します。
| 待遇の格差が小さいまま働ける
直接雇用には、待遇の格差が小さいまま働けるというメリットがあります。「同一労働同一賃金」の原則に基づき、厚生労働省によって正社員と非正規雇用労働者(派遣スタッフを含む)との間に生じる不合理な待遇差が禁止されているためです。
具体的には、職務内容や賃金などにおける不合理な格差をなくすことが求められています。雇用形態が変わる場合においても待遇に関する透明性が保障されるよう、雇用者に説明が義務付けられています。
直接雇用に移行した場合の具体的な待遇や条件については、企業の方針や契約内容によって異なるため、自身で企業との間でしっかりと確認し、交渉することが大切です。
| 同じ企業で長く働ける
派遣スタッフは派遣労働者保護法によって、原則として同一の就業先における派遣期間が最長3年と定められています。しかし、派遣スタッフが企業に直接雇用される場合、3年間の制限を超えて同じ企業で働き続けられるようになります。
直接雇用の雇用形態は正社員やパート、契約社員などさまざまですが、いずれにしても派遣契約に比べて更新までの期間が長く設定されることが一般的です。特に、正社員になれば無期雇用となり、より安定した雇用形態で長く働けます。
企業にとっても派遣スタッフとしての経験を活かし、熟練した人材を長期的に確保できるため、双方にメリットがあるといえるでしょう。
| スキルアップができる
派遣スタッフから直接雇用に切り替わることで業務の幅が広がり、スキルアップの機会が増えます。派遣では業務範囲が限定される傾向にありますが、直接雇用では専門業務や責任のあるポジションを任せられることが多くなるため業務の幅が広がります。
自身のキャリアアップを図りたい方は、直接雇用を前向きに検討してみてもよいでしょう。
| 安定して働ける
派遣スタッフから直接雇用に移行することには、安定して働けるという大きなメリットがあります。派遣スタッフには3年ルールがあるため、契約が終了すると収入がなくなってしまいます。
直接雇用になれば慣れ親しんだ職場で長期間働けるうえに、収入と雇用が安定することから安心して働けるでしょう。
派遣スタッフから直接雇用されるデメリット
派遣スタッフから直接雇用されるデメリットは次のとおりです。
- ・仕事が辞めにくくなる
- ・働き方の自由度が少なくなる
- ・福利厚生が下がる可能性がある
- ・給料が下がる可能性がある
| 仕事が辞めにくくなる
直接雇用は派遣スタッフに比べて、仕事を辞めることが難しくなります。雇用主が派遣会社ではなく派遣先の企業になるためです。
他の企業で新しいことにチャレンジしてみたいと思った場合、派遣スタッフであれば派遣会社に要望を伝えられますが、直接雇用では言いづらいケースも多いでしょう。キャリアの柔軟性を重視する方は慎重に検討する必要があります。
| 働き方の自由度が少なくなる
直接雇用は働き方の自由度が少なくなります。勤務エリアや勤務時間、勤務日数などの条件は、雇用先の内容によって変わるためです。
派遣社員の場合、雇用条件は派遣会社に基づきます。そのため、「午前中だけ」「週に3回だけ」といった働き方も可能です。
直接契約の場合、雇用先の企業と労働契約を直接結ぶため、企業の勤務規則や業務命令に従わなければなりません。
| 福利厚生が下がる可能性がある
「福利厚生が下がる」と感じることもあるでしょう。派遣会社よりも直接雇用される会社のほうが、福利厚生が充実していない場合も少なくありません。
福利厚生の内容は企業により異なります。直接雇用の契約を結ぶ際は、雇用条件を事前によく確認することが重要です。
| 給料が下がる可能性がある
直接雇用になって給料が下がる可能性もあります。直接雇用は月給制になることが多いためです。
派遣スタッフは一般的に時給制であり、残業代も時間に応じて支払われます。一方で、直接雇用は月給制が多く、企業によっては社員が申請しないと残業代が支払われないところもあるでしょう。
派遣スタッフから直接雇用への転換を検討する際は、給与だけでなく労働時間や残業の有無、その他の福利厚生を含めた総合的な待遇を比較検討することが重要です。
派遣スタッフから直接雇用されやすくなる方法
派遣スタッフから直接雇用を目指す場合に有効な方法として、以下の4つを紹介します。
- ・常用型派遣をする
- ・正社員登用が行われる企業に勤める
| 常用型派遣をする
常用型派遣は無期雇用派遣とも呼ばれ、派遣会社が派遣スタッフを無期限で雇用する雇用形態です。派遣先での仕事が終了したあとも収入や新しい派遣先への就業が保証されることが多く、登録型派遣と比較して雇用の安定性が高い傾向にあります。
派遣社員としてのキャリアや専門性を高める機会が多いことから、将来的に直接雇用を目指すうえで有利に働く可能性があるでしょう。
| 正社員登用が行われる企業に勤める
派遣から直接雇用を目指す場合は、正社員登用試験が行われる企業に勤める方法も有効です。企業の中には、派遣を含む非正規雇用の中から正社員として登用する制度を設けているところもあります。
試験の内容は、面接や簡単なレポートを課す場合が一般的です。ただし、企業によって異なるため、試験内容に加え、応募する権利の有無やスケジュール、採用の時期などについて事前に確認しておきましょう。
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紹介予定派遣になる
紹介予定派遣は派遣期間が事実上の試用期間となり、6ヶ月後に双方の合意を経て直接雇用に移行します。
派遣期間中に職場の雰囲気や業務内容を経験できるため、自分に合うか判断してから直接雇用を結べるメリットがあります。実際に仕事を体験してから直接雇用を希望する方は相談してみるとよいでしょう。
派遣スタッフから直接雇用を目指すときのコツ
派遣スタッフから直接雇用を目指す場合、以下のコツを覚えておくとよいでしょう。
- ・雇用条件をしっかり確認する
- ・「雇用安定措置」を理解する
| 雇用条件をしっかり確認する
派遣スタッフから直接雇用を目指す際には、雇用条件を事前にしっかりと確認することが重要です。直接雇用後に予期せぬ問題が起こったり、後悔してしまったりすることを避けられます。
具体的には、就業条件や勤務時間、給料などの条件を細かくチェックし、不明点があれば事前に確認しておきましょう。仕事内容だけでなく労働条件全体が理解でき、自分に合っているかを判断しやすくなります。
| 「雇用安定措置」を理解する
雇用安定措置とは派遣会社に適用されるルールです。派遣スタッフとして3年間就業する見込みがあり、継続就業を希望する方に対して、次で紹介するいずれかの対応を取る義務があります。
- ・派遣先へ直接雇用するよう依頼する
- ・新たな派遣先を提供する
- ・派遣元で無期限雇用する
- ・有給の教育訓練や紹介予定派遣など安定した雇用の継続を図るために必要な措置を行う
※参考:厚生労働省|雇用安定措置について
派遣スタッフにはこれらの措置から選択する権利があります。
派遣から直接雇用される条件を知っておこう
派遣スタッフには派遣として働き続けるだけでなく、派遣先の企業から直接雇用されるという選択肢もあります。直接雇用のメリットは収入や雇用が安定したり自身のスキルアップに繋げられたりするという点です。
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