お仕事
SESと派遣の違いは?どっちがいいか向いている人の特徴も紹介
公開日:2024.06.15
更新日:2024.06.19
SESと派遣の大きな違いは、雇用主と契約形態、指揮命令権の所在です。それぞれの違いを知っておくことで、自分にとってどちらが向いているのかが事前にわかり、ミスマッチが防げます。
本記事ではSESと派遣の違いをわかりやすく記載し、さらにそれぞれのメリット・デメリット、向いているタイプについて解説します。
目次
SESと派遣・請負の違いは?
混同されがちなSESと派遣ですが、実際は雇用主や指揮命令権、契約形態、期間の定めなど、いくつかの大きな違いがあります。
下記表に簡単にまとめました。
| 派遣とは
派遣社員は人材派遣会社と「雇用契約」を結び、派遣先企業で業務を行います。派遣社員の雇用主は、人材派遣会社です。しかし、人材派遣会社と派遣先企業が労働者派遣契約を結んでおり、実際の指揮命令権を持つのは派遣先企業です。
一方、SESの雇用主はSESベンダーです。指揮命令権を持つのもSESベンダーであるため、派遣社員と大きく異なる点といえます。
また、派遣社員の場合、同一企業、同一部署で働き続けることができるのは最長3年です。ただし、部署が変われば改めて契約を結ぶことができます。
| SESとは
SESは「System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)」の略語です。ソフトウェアやシステムの開発、運用、保守など特定の業務に対してエンジニアの技術力を提供します。ただ、ここでの提供は技術力を意味します。成果物ではない点に注意してください。
契約形態は、準委任契約が一般的です。SESベンダーに所属するエンジニアが、クライアント企業に出向いて業務を行います。指揮命令権を持つのは、所属するSESベンダーのみです。クライアント企業は指揮命令権を持たない点が、派遣との大きな違いです。
| 請負とは
請負の場合、指揮命令権はベンダー企業に属します。この点はSESと同じですが、契約形態が請負契約となるため、委託された業務や成果物の完遂に対して報酬が発生します。時間や工数は関係ありません。
一方、SESの場合は、業務遂行にかかった時間や工数、つまりスキルや技術労働力に対して報酬が支払われます。
派遣のメリット・デメリット
仮に業務内容が同じだとしても、派遣、SES、請負と形態が変われば、実感するメリットとデメリットも異なります。まずは派遣のメリット・デメリットについて解説します。
| 派遣のメリット
派遣で働くメリットは次の通りです。
・ライフスタイルに合わせた働き方がしやすい
・案件を選べる
・派遣先企業で正社員として働ける可能性がある
わかりやすく解説します。
ライフスタイルに合わせた働き方がしやすい
派遣には3種類あり、それぞれ契約先や特徴が異なります。下記表に違いをまとめました。
SESと比較した場合、派遣の働き方は自由度が高いです。また、派遣先企業の正社員になれる可能性も、SESと比べると高いでしょう、
また、一般派遣であれば「週2日のみ」「平日毎日午後から5時間だけ」のように、より細かな希望に沿った職場も見つけやすいです。
将来的に直接雇用を目指すのであれば、紹介予定派遣という選択もあります。多様な選択肢がある点は、派遣の大きなメリットです。
案件を選べる
派遣で働く場合、人材派遣会社が仕事内容や勤務地などの希望をヒアリングしたうえで、条件に沿った案件を紹介してくれます。
また、自分が目標とするキャリアパスがあれば、必要な実務経験を逆算し、自ら案件を選ぶことでステップアップやキャリアアップが実現可能です。
案件が幅広く自由に選択できるため、インフラエンジニアから開発エンジニアやその逆など、スキルチェンジがしやすい点もメリットです。
派遣先企業で正社員として働ける可能性がある
派遣はSESに比べると、派遣先企業からオファーを受ける可能性が高いです。そもそもSESは派遣元の正社員であり、よほどの事情がない限り引き抜かれることはありません。
しかし、派遣で働いている人は派遣元の正社員ではないため、企業側からもオファーを出しやすいといえます。また、派遣先も勤務態度や能力を知ったうえでオファーを行うため、直接契約後のミスマッチも起きにくいでしょう。
派遣契約終了後、派遣先が直接雇用する契約を結び直すことは、労働者派遣法第33条で認められています。
―――――
派遣元事業主は、正当な理由がなく、派遣労働者等に対し、派遣終了後、派遣先に雇用されることを禁ずる旨の契約をしてはなりません。派遣先との間で、同様の趣旨の契約をしてはなりません。
出典:労働者派遣法第 33 条 派遣労働者の雇用制限の禁止
―――――
【関連記事】
派遣社員から正社員登用されるには?直接雇用のメリット・デメリットを紹介
| 派遣のデメリット
派遣はメリットが多い働き方ですが、デメリットも存在します。派遣で働く際に生じる可能性がある次のデメリットについて解説します。
・SESほどさまざまな現場を経験できない可能性がある
・収入が安定しない場合もある
・有期型の場合は同じ組織で3年までしか働けない
SESほどさまざまな現場を経験できない可能性がある
SESはプロジェクト単位で業務に参画する働き方です。プロジェクトの規模や内容によるものの、数ヶ月単位で新たな現場に行くことがある一方、派遣は契約期間内であれば同じ場所で同じ業務を行うことが一般的です。
期間の定めもあることから、SESと比較すると経験できる現場の数は少なくなります。「たくさん場数を踏みたい」「多くの現場に行きたい」と考える方にとっては、派遣よりもSESの働き方が向いている可能性もあります。
収入が安定しない場合もある
派遣の給与は時給制が多いですが、SESはベンダーの正社員のため月給制です。時給の場合、繁忙期など残業が多い時期には収入が増えやすい一方、閑散期や年末年始など休みの多い時期には収入が減る可能性もあります。また、ボーナスなどの臨時収入もないことから、正社員と比較すると収入は不安定になりがちです。
しかし、そのほかの労働条件は基本的に同じです。一定の条件を満たすことで、雇用保険や厚生年金保険にも加入できます。
【関連記事】
派遣でも雇用保険に加入できる?条件や加入しないリスクを紹介
有期型の場合は同じ組織で3年までしか働けない
一般的な派遣の形式である登録型派遣の場合は、同一事務所・同一部署で3年働くと、契約更新ができない「3年ルール」が存在します。部署が変われば、同じ事務所で働き続けることは可能ですが、仕事内容が変わる点はデメリットです。SESの場合、プロジェクトごとに現場が変わるものの、3年ルールのような期間の縛りはありません。
ただ、派遣には「常用型派遣(無期雇用派遣)」があります。派遣会社の正社員または契約社員になるため、3年ルールは適用されません。案件が発生していない際にも給料が発生するなどのメリットもあります。無期雇用派遣については次の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】
無期雇用派遣とは? 働き方のメリットやどんな人が向いているかを紹介
SESのメリット・デメリット
ここではSESのメリットとデメリットについて解説します。
SESで働く前にあらかじめイメージしておくことで、ミスマッチが防げます。
| SESのメリット
SESのメリットは、次の通りです。
・雇用が安定している
・さまざまなスキルや技術が身に付く
・人脈を築きやすい
具体的な内容について解説します。
雇用が安定している
SESの場合、一般的にベンダーの正社員として働きます。一般派遣のような「3年ルール」や「派遣切り」はありません。現在関わっているプロジェクトが終了し、出向先での契約満了になった場合、次の出向先が見つかるまでの間も給料は発生します。
安定した雇用形態のため「急いで次の仕事を探さなければ」「仕事が見つからなかったらどうしよう」といった不安を感じることなく、仕事に向き合うことができる点は大きなメリットです。
さまざまなスキルや技術が身に付く
SESは、正社員や派遣と比較した場合、関わるプロジェクトや企業の数が多くなる傾向です。現場が異なればルールや求められるスキル、技術も異なります。また、他社の技術者と会う機会も増えるため、良い刺激を受けられるでしょう。
プログラミング言語やフレームワーク等、特定の技術だけでなく「積極的に新たな技術を身に付けたい」「業界知識を吸収し、スキルアップしたい」と考える方に向いている働き方です。
人脈を築きやすい
客先に常駐する場合、多くのエンジニアとの交流機会が増えます。緊急対応やトラブル対応などを共に経験することで、より関係性が深まります。
自分よりもキャリアの長い先輩エンジニアと交流、対話することで、自らのキャリアプランを改めて考える機会にもなるでしょう。
| SESのデメリット
雇用の安定やスキルの向上、人脈の構築など数多くのメリットがあるSESですが、デメリットも存在します。
・案件を選びづらい
・環境が頻繁に変わってしまう
・偽装請負に注意しなければならない
それぞれのデメリットについて解説します。
案件を選びづらい
SESも案件を選ぶことは可能です。しかし、派遣と比べると選びにくいとの声も多く、「案件ガチャ」という言葉もあるほどです。案件選択制SESもあるものの、実際は案件数自体が少なく、選択の余地がなかったというケースも存在します。
また、派遣のように派遣会社の担当者が積極的にサポートしてくれるわけではないため、問題が起きた場合は自ら交渉することが必要です。
環境が頻繁に変わってしまう
SESの場合、プロジェクト単位で関わる企業が変わるため、勤務環境が頻繁に変わることが一般的です。「快適な職場環境だからこのままここで働き続けたい」と思ったとしても、次の勤務先が待っています。
プロジェクトや企業が変われば、開発環境も大きく変わるものです。エンジニアにとっては、大きな負担となる可能性があります。また、職場の人間関係も一から構築しなければなりません。環境を変えたくない人にとっては、デメリットと感じる部分です。
偽装請負に注意しなければならない
SESの偽装請負とは、本来指揮命令権を持たないクライアント企業が、直接エンジニアに対し指揮命令を行うことです。偽装請負のまま業務を続けてしまうと、トラブルが発生した場合の責任の所在等が問題になるケースもあります。
偽装請負は法令違反のため、最初に聞いていた話と違うと感じたら、労働基準監督署等に相談することをおすすめします。
SESと派遣どっちがいい?向いているほうをチェック!
SESと派遣には、それぞれメリット・デメリットがあり、人によって向き・不向きが分かれます。自分に合った働き方を探すために、ここでは派遣とSES、それぞれ向いているタイプを解説します。
| 派遣が向いている人
派遣の働き方が向いている人は、次の通りです。
・案件を自分で選びたい人
・ワークライフバランスを重視したい人
・プライベートを充実させたい人
・自分に合った職場で働きたい人
・将来的に派遣先企業での正社員雇用を視野に入れている人
・大手企業での勤務を希望する人
派遣は自由度が高い働き方です。特に登録型派遣であれば、自分が希望する案件を選択し、受託できる可能性が高いです。また、紹介予定派遣制度のある求人が多いほか、派遣で働くなかで契約満了後に正社員での採用を打診する自由もあります。
自分のライフスタイルに合った働き方を選びたい人にとって、派遣は働きやすい形態といえるでしょう。
| SESが向いている人
SESが向いている人の特徴は、次の通りです。
- ・安定した雇用を求める人
- ・さまざまなスキルや技術を身に付け、キャリアアップを考えている人
- ・多様な人脈を築きたい人
- ・環境の変化に順応できる人
- ・さまざまな案件や企業に積極的に関わりたい人
SESはSESベンダーの正社員として働くことができます。派遣に比べ、最初から雇用が安定しているため、契約終了により職を失う心配がなく、次々と新しい仕事にチャレンジできます。
また、数ヶ月単位で関わるプロジェクトが変わることも珍しくありません。新しい環境や新しい人間関係の構築を楽しめるような順応性の高い人向きの働き方です。
SESと派遣の違いを知り、自分に合った働き方を選ぼう
SESと派遣は、雇用形態や指揮命令権の所在などいくつもの異なる点があります。またワークライフバランスを重視し、仕事内容を選びたい方は派遣向き、環境の変化への順応性が高く安定した雇用を求める方はSES向きなど、現在のライフスタイルや性格などによっても、合う働き方は異なります。
ワポティには、登録型派遣の求人から将来的に正社員が目指せる社員登用実績がある求人まで、さまざまな派遣の仕事が掲載されています。お仕事探しの悩みを抱えている方は、まずは一度相談を。専任のコーディネーターが仕事探しを丁寧にサポートしてくれます。
ワポティの登録はこちら
あなたにピッタリなお仕事探しを応援します!