豆知識
派遣で3年以上働くことは可能? 3年ルールについて詳しく解説
公開日:2024.01.12
更新日:2024.10.22
派遣法では、同じ会社で最大3年までしか働けない「3年ルール」が定められています。
3年ルールでは就業期間に制限があると同時に、さまざまな会社や職種を選択できる自由な働き方が可能です。
・3年ルールとは何か
・3年以上働くことは可能か
・3年ルールのメリットについて知りたい
この記事では3年ルールの概要や、メリットとデメリットについて詳しく解説します。
目次
- 派遣法における3年ルールとは?
- 3年ルールにおける5つの例外
- 1.無期雇用契約を結んでいる場合
- 2.年齢が60歳以上である場合
- 3.有期プロジェクトに従事している場合
- 4.日数が限定されている業務に従事している場合
- 5.産休・育休・介護休業の代替として従事している場合
- 3年ルールにおける3つのメリット
- 3年ルールにおける2つのデメリット
- 3年を超えて同じ会社で働く3つの方法
- まとめ
派遣法における3年ルールとは?
派遣法における3年ルールとは「派遣社員が同じ事業所で原則3年を超えて働けないこと」です。
2015年に派遣法改正法が施行され、雇用状態の安定とキャリア形成の支援を目的に新設されました。
派遣労働期限は3年までと明確化し、3年後には契約更新や雇用形態の変更を認めるように定められています。
改正法で新設された措置
・派遣先に直接雇用を依頼
・新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
・派遣元との(派遣労働者以外の)無期雇用契約
・次の派遣先が見つかるまでの有給や教育訓練を実施
派遣元の会社は3年経過後、企業へ直接雇用を依頼しなければいけません。正社員や契約社員の雇用が難しければ、新たな仕事の紹介または自社への無期雇用契約が義務付けられます。
派遣労働者の雇用が安定するために作られた法律が3年ルールです。
参考:厚生労働省「派遣で働く皆さまへ~平成27年労働者派遣法改正法が成立しました~ 」<
厚生労働省「平成27年労働者派遣法改正法の概要」
| 対象者について
3年ルールの対象となるのは、派遣会社と有期雇用派遣契約を結んでいる派遣労働者です。
有期雇用派遣とは派遣元の会社と契約期間を定めている労働契約を指します。一方、期間の定めがない派遣は無期雇用派遣契約と呼ばれます。無期雇用派遣契約では3年を超えて契約更新ができる、3年ルール適用外の雇用契約です。
3年ルールでは、以下で解説する2種類の期間制限が適用されます。
| 期間制限について
派遣法改正法では、2種類の期間制限が適用されるようになりました。
・事業所単位の期間制限
・個人単位の期間制限
それぞれ解説します。
・事業所単位の期間制限とは
事業所単位の期間制限とは「派遣先の同一事業所で、派遣労働者を受け入れられる期間は3年まで」を指します。
事業所の定義
・工場や事務所、店舗などが他の事業所と違う場所で独立していること
・経営単位として人事、経理、指導監督、働き方などがある程度独立していること
・上記の施設が一定期間継続するものであること
雇用保険の適用事業所と基本的には同一とされ、事業所の区別は実態に即して判断されます。
事業所の期間制限では、派遣社員が従事する事業所の在籍期間が対象となります。先任の派遣社員がいれば後任者の契約期間が縮まるなど、在籍間に左右される点が特徴です。
例:先任の派遣社員が2年働いていたら、後任の派遣社員は残り1年しか働けない
・個人単位の期間制限とは
個人単位での期間制限は「同一事業所の同一の組織単位に対し同じ派遣労働者を派遣できる期間は3年が限度」となっています。
ここでの注目ポイントは「組織単位」です。
組織単位の定義
・業務が似ていることや関連性がある課やグループ
・組織の長が業務配分や労務管理上の指揮監督権限を有している
事業所と同じく、組織の区別は実態に即して判断されます。
派遣労働者は派遣法改正法上、同じ事業所の同じ組織において、3年を超えて働くことはできません。
もし、3年経過後も同じ事業所で働きたい場合は、同一事業所内でも違う部署での業務に就く必要があります。その際は、事業所単位での期間制限を延長していることが前提となります。
例:3年経過後、経理課→経理課は×だが、経理課→総務課は〇
3年ルールにおける5つの例外
派遣契約の中でも、3年ルールに適用されないケースがあります。
以下、例外とされる5つのケースを紹介します。
-
・無期雇用契約を結んでいる場合
・年齢が60歳以上である場合
・有期プロジェクトに従事している場合
・日数が限定されている業務に従事している場合
・産休・育休・介護休業の代替として従事している場合
1. 無期雇用契約を結んでいる場合
無期雇用契約とは派遣期間を定めていない労働契約のことです。
派遣元の会社と無期雇用契約を結ぶことで、契約更新をしなくても働ける雇用形態となっています。無期雇用契約を結んでいる場合、3年ルールは適用されません。
2.年齢が60歳以上である場合
派遣社員として就業を開始した日、または3年経過時点で60歳以上の場合、3年ルールの適用外となります。
派遣当初の年齢が57歳でも、3年経過後に60歳になっていた場合などが挙げられます。
3.有期プロジェクトに従事している場合
従事しているプロジェクトが3年を超え、終わりが決まっている場合は3年ルールの適用外となります。
例
・プロジェクト期間が3年以上で終わりが決まっている(5年間)→3年ルール適用外
・プロジェクト期間が3年以上で終わりが決まっていない→3年で契約満了
4.日数が限定されている業務に従事している場合
下記のとおり、日数が限定的な業務に就いた場合は、3年ルールの適用外となります。
日数限定業務
・1カ月の勤務日数が通常の労働者の半分以下
・1カ月の勤務日数が10日以下
5.産休・育休・介護休業の代替として従事している場合
産休や育休、介護休業を取得している人の代わりとして派遣された場合には、3年ルールの適用外に該当します。
3年ルールにおける3つのメリット
労働期間の制限が目立つ3年ルールですが、活用方法次第では働き方の改善につながります。
・期間満了時に直接雇用を結べる可能性がある
・キャリアプランが組み立てやすくなる
・自分に合う職場を見つけやすくなる
働き方を見直すきっかけとして参考にしてください。
1.期間満了時に直接雇用を結べる可能性がある
1つ目のメリットは「期間満了時に直接雇用を結べる可能性がある」ことです。
派遣期間中の評価が高ければ契約満了後、直接雇用につながる可能性があります。新しい派遣社員を雇ってまた一から教育するより、スキルのある人を継続雇用したほうが派遣先企業としてもメリットにつながるからです。
2.キャリアプランが組み立てやすくなる
2つ目のメリットは「キャリアプランが組み立てやすくなる」ことです。
3年ルールにより、契約満了後に直接雇用や無期雇用契約への道も拓けるようになりました。そのため、派遣期間中も満了後のキャリア構築に向けて、意識を向けることができます。資格取得や専門分野の勉強もできるため、自身のキャリアアップが組み立てやすい環境といえます。
3.自分に合う職場を見つけやすくなる
3つ目のメリットは「自分に合う職場を見つけやすくなる」ことです。
有期労働契約では、複数の現場での経験・キャリアが積めます。業務形態や社風、人間関係も見定められるため、派遣中に肌に合わない会社や相性の合わない人とも距離を置けます。自分にとって最適な職場を見つけられるのも、3年ルールのメリットと言えるでしょう。
3年ルールにおける2つのデメリット
派遣中の契約解除や勉強の必要が新たに出てくるなど、3年ルールにはデメリットも存在します。
・3年以内に契約を解除される可能性がある
・職場が変わるたびに業務を覚え直す必要がある
1.3年以内に契約を解除される可能性がある
1つ目のデメリットは「3年以内に契約を解除される可能性がある」ことです。
有期雇用派遣では最大で3年間働けますが、業務を満了時まで継続できる保証はありません。
人材コストの増大や事業からの撤退など、派遣先の都合で契約解除になるケースも考えられます。また本人が原因で契約解除をされるケースもあるので、勤務態度や発言には十分注意してください。
2.職場が変わるたびに業務を覚え直す必要がある
2つ目のデメリットは「職場が変わるたびに業務を覚え直す必要がある」ことです。
契約が満了になると、派遣先の業務も終了となります。満了後は別の派遣先企業を探す必要が出てくるため、未経験の職種だと一から業務を身につけなければなりません。
3年ルールで働く際は、業種や職種を自由に選べる代わりに、新たな業務に対応するスキルが必要です。
3年を超えて同じ会社で働く3つの方法
労働派遣の改正法上、3年経過した後は同じ部署・同じ業務に就くことができません。
しかし、以下の方法を用いれば、雇用契約の延長も可能となります。
・部署異動をしてもらう
・直接雇用に切り替えてもらう
・⾼齢者雇⽤安定法の改正で定年が延びている
1.部署異動をしてもらう
3年以上働きたい場合は、部署異動ができるか相談してみましょう。
法律上同じ部署で働くことはできませんが、違う部署での就業は可能です。
延長の際には、派遣先企業の延長手続きが済んでいるかが重要ですので、併せて確認してください。
派遣先会社側の延長手続き
・労働者の過半数で組織された「過半数労働組合」または労働者の過半数を代表する「過半数代表者」に意見聴取する
・期間制限日の1カ月前までに聴取しなければならない
聴取は事業所単位で期間制限に関連します。聴取において延長が認められれば、引き続き同じ会社で働くことができます。
2.直接雇用に切り替えてもらう
同じ部署で引き続き仕事をしたい場合は、直接雇用を打診してみましょう。
直接雇用での契約になれば3年ルールの適用外となり、同じ会社・同じ部署・同じ業務に就くことが可能です。
直接雇用の際に注意する点は、必ずしも正社員になれるとは限らないことです。雇用形態に関しては報酬面の交渉もあるので、派遣会社とよく相談してから、決めたほうが良いでしょう。
3年ルールで働くよりはメリットが大きいため、普段から派遣先企業と良好な関係を築いておくことも重要です。
3.無期雇用契約を結んでもらう
無期雇用契約を結べば3年ルールの適用外となり、派遣先での継続業務が可能です。
有期雇用派遣と同じ派遣元会社と契約することで、給与が時給から月給に変わるなど、有期雇用派遣に比べて労働条件のメリットが多くなります。
注意点としては、無期雇用契約をすると直接雇用が難しくなることです。直接雇用を視野に入れている場合は、自身のキャリア形成をよく見据えたうえで判断してください。
まとめ
この記事では、3年ルールの概要やメリット・デメリット、派遣社員が3年を超えて働く方法について解説しました。
・3年ルールの対象者は派遣会社と有期雇用派遣契約を結んでいる派遣労働者
・契約内容や労働環境により3年ルールの対象外となるケースがある
・3年ルールに設けられた期間制限は事業所単位と個人単位とで分かれる
・直接雇用やキャリアアップ、働きやすい職場を見つけやすい
・3年を超えて働きたい場合は部署異動・直接雇用・無期雇用契約の方法がある
現在の環境や将来のキャリアプランを踏まえて、最適な働き方に結びつけられるようこの記事をお役立てください。
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