働き方
派遣でも雇用保険に加入できる?条件や加入しないリスクを紹介
公開日:2024.05.11
更新日:2025.07.28
派遣社員でも、条件を満たせば雇用保険に加入できます。雇用保険の加入には、さまざまな給付が受けられるメリットがある一方、デメリットがある点に注意しましょう。雇用保険に入らない働き方には、リスクも存在します。
本記事では、派遣社員の場合の具体的な給付内容や加入条件、加入しない働き方とリスクについてわかりやすく解説します。
目次
- 派遣社員も条件を満たせば雇用保険に加入可能
- 派遣社員でも雇用保険に加入できる!給付の種類を紹介
- 雇用保険の加入にデメリットはある?
- 派遣社員が雇用保険に加入する条件
- 派遣社員が雇用保険に加入しないリスク
- 雇用保険に加入しない派遣の働き方
- 雇用保険に関する派遣社員のよくある質問
- 派遣社員が加入する雇用保険は派遣先?派遣元?どっち?
- 雇用保険に加入しているかどうか確認するには?
- 会社が雇用保険の加入手続をしてくれない場合は?
- 失業保険はいくら受け取れる?
- 派遣契約終了時の失業手当は受給できる?
- 派遣で短期契約を転々とした場合の雇用保険の扱いは?
- 雇用保険に入らず扶養内で働くことへの影響は?
- 派遣でも雇用保険に入れる!安心して仕事を始めよう
派遣社員も条件を満たせば雇用保険に加入可能
「派遣社員だから雇用保険は関係ないのでは?」と思われがちですが、それは誤解です。派遣社員でも一定の条件を満たせば、正社員などと同様に雇用保険の被保険者として加入が可能です。雇用保険法では、雇用形態にかかわらず週の所定労働時間が20時間以上あり、かつ31日以上引き続き雇用される見込みがある労働者は原則として全員、雇用保険の被保険者になると定められています。派遣社員も例外ではなく、条件さえ満たせば本人の希望に関わらず加入は義務です(雇用主が手続きを行い保険料を天引きします)。
ポイントは、「派遣だから加入できない」のではなく「条件を満たしているかどうか」です。派遣社員の場合、契約期間や勤務時間が短い働き方も多いため、自分が条件に当てはまるか確認してみましょう。条件を満たせば派遣会社(あなたを雇用する会社)はハローワークで雇用保険の加入手続きを行う義務があります。派遣社員も条件次第で雇用保険に入れることをまず押さえてください。
| 雇用保険とは?派遣社員にも関係する制度をおさらい
そもそも雇用保険とは、働く人が失業したときなどに生活や雇用の安定を図るために設けられた公的な保険制度です。会社を退職して次の仕事を探す間、経済的な不安を和らげるために一定期間、給料の代わりとなる失業給付(基本手当)が支給されます。支給される期間はおよそ3か月〜1年程度で、在職中の賃金の50〜80%が給付されるため、再就職や起業の準備を焦らず進められるようになります。
また雇用保険は、失業時だけに役立つものではありません。在職中でも、たとえば育児や介護で休業する場合に賃金の一部を補償する育児休業給付金・介護休業給付金が支給されます。さらに、職業訓練やスキルアップを支援する制度も含まれており、一定の条件のもとで教育訓練講座の受講費用の一部が支給される「教育訓練給付金」が利用できます。早期に再就職できた場合には「再就職手当」がもらえるなど、雇用保険には様々な給付メニューが用意されています。
このように雇用保険は、失業時の生活保障や再就職支援だけでなく、在職中のキャリア形成や育児・介護との両立までサポートする幅広い制度です。派遣社員にとっても無関係ではなく、いざというときに生活を支えてくれる心強いセーフティネットと言えるでしょう。
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派遣社員でも雇用保険に加入できる!給付の種類を紹介
派遣社員が雇用保険に加入した場合、給付できるのは次の4つです。
・求職者給付
・就職促進給付
・教育訓練給付
・雇用継続給付
各給付制度の内容と、手当や給付金など具体的な内容について解説します。
| 求職者給付
求職者給付とは、定年退職や解雇などで仕事を失った場合、求職活動を行う際の生活の保障と再就職活動の支援を目的としたものです。耳にする機会の多い「失業保険(手当)」も、求職者給付に含まれます。
基本手当
基本手当とは、一定の被保険者期間があり、失業の状態かつ働く意欲がある場合に支給される「失業保険」です。給付金額は退職時の年齢と直前の賃金日額によって異なり、59歳以下の場合は50〜80%、60〜64歳の場合は45〜80%とそれぞれ幅があります。
雇用保険の被保険者期間が長ければ長いほど、受給期間も長くなります。また、解雇や倒産など会社都合による退職の場合、自己都合退職に比べて受給期間が長いです。
傷病手当
離職後、ハローワークに行き、休職の手続きを行ったあとに、ケガや病気等を理由に15日以上働けない場合に支給されます。基本手当が受給できない期間も、傷病手当を受給することで生活の安定が図れます。
傷病手当の日額は、基本手当と同じ額です。また、30日以上働くことが困難な場合は、受給資格者の申し出によって受給期間の延長が可能です。傷病手当支給申請書は、本人による提出が難しい場合、代理人による提出や郵送による提出にも対応してくれます。
| 就職促進給付
就職促進給付は、早期の再就職を支援するための給付金です。再就職への意欲を高める「再就職手当」、再就職後の長期勤務につなげる「就業促進定着手当」、遠方の就職活動を資金面で支援してくれる「広域求職活動費」などがあります。
ここでは主となる上記3つの就職促進給付について紹介します。
再就職手当
再就職手当とは、基本手当の受給者が下記条件を満たし、早期に安定した仕事に再就職した場合に支払われる手当です。
1.受給手続き後、7日間の待機期間満了後に就職したこと
2.基本手当の受給者で、基本手当の支給残日数が給付期間の3分の1以上あること
3.1年以上確実に勤務すること
4.再就職先は、離職前の事業所と異なること、また資金面や取引面での関連性もないこと
5.求職申込時点で内定していた職場への再就職ではないこと
6.再就職手当や常用就職支度手当を過去3年以内に受給していないこと
7.雇用保険の被保険者であること
8.基本手当の給付制限がある場合、待機期間満了から1ヶ月以内の再就職は、ハローワークまたは厚生労働大臣許可の職業紹介事業者の紹介による就職であること
再就職手当の支給額は、基本手当の支給残日数により異なります。下記表に示す通り、早期に再就職するほど、給付率が高くなります。
※参考:厚生労働省|再就職手当のご案内
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再就職手当とは?いくらもらえる?受給条件やもらい方も紹介
就業促進定着手当
就業促進定着手当は、再就職先に6ヶ月以上雇用され、かつ、離職前の給与よりも低い場合に支給されます。
支給条件は次の4つです。
1.再就職手当を支給されている
2.再就職手当を支給された再就職の日から、同じ事業主に6ヶ月以上雇用されている
3.雇用保険の被保険者として雇用されている
4.再就職後の6ヶ月分の賃金が、離職前の賃金日額を下回る
再就職した職場で、継続して働くことができるように支援が行われます。
広域求職活動費
広域求職活動費は、遠方にある企業の見学や面接の際に支給される交通費と宿泊費です。費用面で心配することなく、就職活動が行えます。
支給条件は次の通りです。
1.雇用保険の受給者である
2.待機期間終了後に、広域求職活動をスタートしている
3.ハローワークの紹介による事業所の常用求人である
4.住所管轄ハローワークから、求人事業所の管轄ハローワークの距離が200km以上ある
5.求人事業所から広域求職活動費が支給されない、または支給額が不足している
| 教育訓練給付
教育訓練給付の対象者には、需給の条件を満たす求職者だけでなく、労働者も含まれます。資格取得や仕事のスキルアップを目的とした受講ができ、受講費用の一部が「訓練給付金」として支給されます。
ここでは、次の2種類の給付金について解説します。
・一般教育訓練給付金
・専門教育訓練給付金
一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金は、受講費用の20%(上限10万円)が支給されます。介護福祉士実務者養成研修や税理士、CAD利用技術者試験など資格取得を目的とした講座と、修士・博士の学位などの取得を目標とする大学院課程の2種類があります。
一般教育訓練給付を受ける条件は、次の通りです。
・初めて教育訓練給付金を受ける場合は、1年以上の雇用保険被保険者期間がある
・給付経験者の場合は、前回受講開始から3年以上の雇用保険加入期間が必要
・給付経験者の場合は、前回支給日から今回の受講開始まで3年以上経過していること
専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金は、訓練期間6ヶ月ごとに受講費用の50%(年間上限40万円)が支給されます。資格を取得したうえで、訓練終了後1年以内に雇用保険の被保険者の条件を満たし、就職した場合、追加で受講費用の20%(年間上限16万円)が支給されるメリットもあります。
対象講座は、社会福祉士や歯科衛生士をはじめとした業務独占資格取得を目標とするものや、デジタル関係など労働者の中長期キャリア形成を目的としたものが多いです。専門実践教育訓練給付金を受ける条件は次の通りです。
・初めて教育訓練給付金を受ける場合は、2年以上の雇用保険被保険者期間がある
・給付経験者の場合は、前回受講開始から3年以上の雇用保険加入期間が必要
・給付経験者の場合は、前回支給日から今回の受講開始まで3年以上経過していること
| 雇用継続給付
雇用継続給付には、育児や介護を理由に休業する場合に支給されるものや、高齢者の労働意欲を高めることを目的としたものがあります。代表的な給付制度について、解説します。
育児休業給付
育児休業給付とは、育休取得により賃金が支払われない場合に、原則として子どもが1歳になるまでに支給される給付金です。父母の両方が育休を取得(パパママ育休プラス制度を利用)した場合は1歳2ヶ月未満まで、保育所に入所できない、婚姻を解消したなどの理由による延長の場合は、最大2歳未満まで支給を受けられます。
期間の定めがある派遣社員の場合、基本的に1歳6ヶ月に達する前までの間に契約期間満了とならないことが支給要件です。詳しい条件や申請の流れは次の記事で解説しています。
[関連記事]
派遣社員も産休や育休を取得できる!条件や申請の流れ・手当を解説
高年齢雇用継続基本給付金の受給資格
高年齢雇用継続基本給付金とは、年齢を重ねても継続して働けるように援助、支援する目的の給付金です。下記の要件にすべて当てはまる場合、受給資格が得られます。
1.60歳以上65歳未満
2.60歳になってからも継続して働いている
3.60歳以後の賃金が、60歳時点の賃金の75%未満に低下した
4.雇用保険の被保険者期間が過去に5年以上ある
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雇用保険の加入にデメリットはある?
派遣社員が雇用保険に加入した場合のデメリットは、特にありません。強いて言えば、雇用保険料の負担額があることですが、一般事業の場合、労働者が負担する令和5年度の雇用保険料は賃金の0.6%です。
このように雇用保険料はかなり低い金額のため、デメリットとして感じにくいでしょう。したがって、派遣でも雇用保険に積極的に加入することをおすすめします。
派遣社員が雇用保険に加入する条件
では、派遣社員が雇用保険に加入する具体的な条件を確認しましょう。
2025年7月時点での雇用保険の加入条件は以下の通りです。
・31日以上引き続き雇用される見込みがあること(契約期間の定めがなく長期見込み、または更新により合計31日を超える見込みがあること)
・1週間の所定労働時間が20時間以上であること(残業ではなく契約上の通常の労働時間が基準)
・昼間学生ではないこと(※夜間部や定時制・通信制の学生、卒業見込みの学生などはこの限りではありません)
| 31日以上引き続き雇用される見込みがあること
派遣社員でも雇用保険に加入するには、「31日以上引き続き雇用される見込み」が必要です。これは、契約期間が最初から31日以上ある場合だけでなく、当初短期契約だった場合でも「契約更新の予定があり、トータルで31日を超える可能性がある」ときも該当します。たとえば「3週間ごとの契約を繰り返しているけど今後も続く見込みがある」などの場合、雇用保険の対象となります。契約書に「更新の可能性あり」と記載がある場合もこの条件を満たします。
| 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
もうひとつの条件は「1週間の所定労働時間が20時間以上あること」です。ここでいう所定労働時間は、残業などを含まない、契約書に記載された通常の勤務時間のこと。たとえば「1日4時間、週5日働く」なら週20時間となり、この条件を満たします。逆に、週3日だけ働くなどで週合計が20時間未満の場合は、雇用保険には入れません。自分の勤務時間が契約上どうなっているか、雇用契約書などで確認しておきましょう。
| 昼間学生ではないこと
雇用保険に加入できるのは、原則として「昼間学生ではない人」です。昼間に通学する高校生や大学生、専門学校生などは、週20時間以上・31日以上働いていても雇用保険の対象外となります。一方で、夜間部の学生や通信制・定時制の学生、卒業見込みの学生、休学中の学生などは、この条件に当てはまらないため雇用保険に加入できます。学生アルバイトの場合はまず自分が昼間学生に該当するかどうかを確認してください。
上記をすべて満たす労働者は、パートやアルバイト・派遣社員であっても雇用保険に加入させる義務があります。雇用主は条件を満たした従業員を必ず雇用保険に加入させなくてはいけません。もし派遣先や派遣元の会社が加入手続きを怠っている場合、それは法律上不適切な対応です。
なお、かつては雇用保険の適用対象に年齢上限(65歳未満)がありましたが、2017年以降は65歳以上の方でも条件を満たせば雇用保険に加入できます。つまり定年後のシニア派遣社員であっても、週20時間以上・31日以上の見込みがあれば雇用保険の被保険者となるわけです。
▶︎参考情報:2028年10月から、雇用保険の加入条件が見直される予定です。法律改正により週の所定労働時間要件が「20時間以上」から「10時間以上」に緩和され、より短時間のパート・アルバイトにも雇用保険が適用されるようになります。
派遣社員が雇用保険に加入しないリスク
雇用保険に入っていない場合にはどんなリスクがあるのでしょうか?最大のリスクは、失業したときに失業手当(基本手当)を受け取れないことです。雇用保険未加入のまま派遣契約が終了・失職してしまうと、収入が突然途絶えてしまい、生活に大きな困難を伴う恐れがあります。特に単発の派遣や短期アルバイトを渡り歩いているような場合、雇用保険に入っていないと貯金が尽きればすぐ生活に困る事態になりかねません。
さらに、雇用保険に入っていないと失業手当以外の給付も一切受けられない問題があります。たとえば在職中に出産して育児休業を取ることになっても「育児休業給付金」が受け取れませんし、家族の介護で休職する際の「介護休業給付金」も対象外になります。早期に再就職した場合の再就職手当や、職業訓練を受ける際の給付金など、雇用保険に加入していればこそ利用できる様々な制度が未加入だと全て受けられなくなってしまうのです。これは将来的なキャリアアップや生活設計にも影響を及ぼす大きなリスクと言えます。
実際、現在の制度では週20時間未満しか働かない労働者や、ごく短期の雇用で終わってしまう労働者は雇用保険の適用外となっており、そうした人々は失業手当のセーフティネットから漏れてしまう現状があります。政府もその点を問題視しており、先述のように2028年には適用拡大(週10時間以上への緩和)が予定されています。いずれにせよ、雇用保険に入らずに働き続けることは「いざというときの保障」を手放している状態です。不測の事態に備えるためにも、加入条件を満たしているなら必ず雇用保険に入っておくことが大切です。
雇用保険に加入しない派遣の働き方
雇用保険は条件を満たした場合、必ず加入しなければなりません。つまり、雇用保険に加入したくない場合は、契約の段階で確認しておく必要があります。
ここでは何らかの理由により雇用保険に加入したくない方に向けて、 雇用保険に加入しない派遣の働き方を解説します。
| 所定労働時間を抑える
1週間の所定労働時間が20時間未満の場合は、雇用保険の適用除外です。つまり、未加入のまま働きたい場合は、契約の時点で週20時間未満の勤務形態を申し出ましょう。
ここでの「1週間」とは、年末年始や夏季休暇・祝祭日などのない、通常稼働の週をいいます。また、残業や休日出勤により週20時間を超えた場合も加入義務は発生しません。
| 複数の派遣会社で勤務する
2社以上の派遣会社に登録し、A社で週15時間、B社で週12時間勤務した場合、合計では週27時間の勤務となります。しかし、雇用保険加入条件の1週間の所定労働時間が示すのは、1社の労働時間です。
「労働時間は抑えたくない。でも、雇用保険にも加入したくない」という方は、複数の派遣会社に登録し、各社での労働時間を週20時間未満に抑えることで、合計週20時間以上働くことが可能です。
雇用保険に関する派遣社員のよくある質問
派遣社員は派遣会社に雇用されるため、正社員やアルバイト・パートと比べ、雇用保険が複雑だと感じる方も多いことでしょう。
ここでは派遣社員向けに、雇用保険に関するよくある質問を紹介します。
| 派遣社員が加入する雇用保険は派遣先?派遣元?どっち?
派遣社員が加入する雇用保険の手続きは、派遣元が行ってくれます。雇用保険に加入した場合、ハローワークが派遣元に雇用保険被保険者証等の交付を行います。派遣社員は、「雇用保険被保険者証」「雇用保険被保険者資格取得確認通知書」を受け取り、紛失しないように保存しておきましょう。
ただし、登録型派遣労働者の場合は、短期間で派遣先が変わったり、派遣期間が中断したあとで同一の派遣先で働いたりするなど、さまざまなケースがあります。個別のケースについては、派遣会社に相談してみましょう。
| 雇用保険に加入しているかどうか確認するには?
雇用保険の加入状況を知りたい場合は、給与明細書を確認します。控除項目に「雇用保険」の表記があれば、雇用保険加入中と考えられます。また、雇用保険に加入するとハローワークが事業主に「雇用保険被保険者証」と「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」を交付します。事業主から受け取っている人は、雇用保険加入中といえます。
ただし、事業主が退職まで保存しているケースもあるため、手元にない=雇用保険未加入とはいえません。
もっとも確実な方法は、ハローワークに問い合わせることです。「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」をダウンロードし、印刷して申請するほか、電子申請も可能です。
| 会社が雇用保険の加入手続をしてくれない場合は?
会社には、加入条件を満たしている労働者を雇用保険に加入させる義務があります。しかし、会社が雇用保険の加入手続きをしない場合、労働者は失業しても失業手当が受け取れません。
雇用保険未加入であることに気づいたら、会社に損害賠償を求めることができます。ただ、手続きが複雑なため、まずは法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
| 失業保険はいくら受け取れる?
失業保険の受給額を知りたい場合の計算式は、次の通りです。
1.「離職日直前6ヶ月間に支払われていた賃金の総額÷180」を計算する(賃金日額)
2.「賃金日額×45~80%(給付率は年齢等により異なる)」を計算する(基本手当日額)
3.「基本手当日額×給付日数」を計算する(受給金額総額)
「雇用保険受給資格者証」を確認すると、正式な基本手当日額がわかります。また、1ヶ月の受給金額は最大4週間分(28日分)です。
失業保険の受給条件や給付日数は、離職理由や雇用保険の加入期間等で異なります。失業保険についてさらに詳しく知りたい方は、下記記事をご確認ください。
[関連記事]
派遣社員も失業保険をもらえる?自己都合と会社都合の手当の違いとは
| 派遣契約終了時の失業手当は受給できる?
はい、受給できます。派遣先との契約期間が満了し、次の派遣先がすぐに見つからない場合は「離職」した状態になりますので、雇用保険の基本手当(失業手当)を受給する資格が発生します。派遣社員の場合、契約満了に伴う離職は「特定理由離職者」として扱われるのが一般的です(契約更新を希望したのに更新されなかった離職に該当)。特定理由離職者であれば、離職前1年間に通算6か月以上の被保険者期間があれば失業手当の受給資格を得られます。また自己都合退職者に適用される給付制限(待機満了後の2か月※2025年10月以降は1か月)は課されず、ハローワークで求職申込みをして7日間の待期期間を経れば支給開始となります。
派遣契約が終了したらまず雇用主(派遣会社)から離職票を受け取り、ハローワークで所定の手続きを行いましょう。必要な条件を満たしていれば、次の仕事が見つかるまでの間、基本手当による生活支援を受けることができます。
【関連記事】
派遣の契約満了とは?確認したいポイントや今後の選択肢を解説
| 派遣で短期契約を転々とした場合の雇用保険の扱いは?
同じ派遣会社で複数の短期契約を継続している場合、雇用保険上はトータルで見て31日以上の雇用見込みがあると判断され、途中からでも被保険者になるケースがあります。雇用保険の適用要件である「31日以上の雇用見込みがあること」について厚生労働省は、「31日未満で雇用が終わることが明確でない限り、原則31日以上の雇用見込みありとみなす」と示しています。具体的には、契約書に「更新の可能性あり」と記載がある場合や、更新規定がなくても同じ派遣先で繰り返し契約更新・就業している場合は、たとえ一つひとつの契約期間が1〜2週間など短期でも最初から雇用保険を適用する(または途中時点で適用に切り替える)のが原則です。
一方、毎回別の派遣会社・別の勤務先で短期アルバイトを繰り返す場合は、それぞれ別個の雇用契約となるため雇用保険の適用要件を満たしにくいです。例えば一度きり2週間だけの単発バイトでは雇用保険には入れません。ただし、同じ派遣元会社との契約が断続的に続くのであれば通算して適用される可能性があります。派遣会社が意図的に雇用保険加入を避けるために契約を細切れにしているような場合には、労働者側から雇用保険加入の希望を伝えたり、必要であれば労働基準監督署やハローワークに相談することも検討しましょう。
| 雇用保険に入らず扶養内で働くことへの影響は?
配偶者の扶養内(年収130万円未満など)で働くことと、雇用保険に加入することは制度上は別問題です。たとえ扶養内で収入を抑えていても、週20時間以上働き31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険への加入義務が生じます。扶養内だからといって本人の希望で雇用保険に入らないままでいることはできません。実際、時給や勤務日数によっては扶養範囲内の収入でも雇用保険の加入条件を満たすケースがあります(例:月8万円・年96万円程度でも週20時間働けば加入対象)。
もし「雇用保険に入らず扶養の範囲内で働きたい」という理由で意図的に勤務時間を減らす場合、確かに健康保険・年金の保険料負担や配偶者控除のメリットは得られるでしょう。しかしその代わりに前述のような雇用保険の保障をすべて放棄するリスクを負うことになります。失業手当を受け取れない、職業訓練給付が使えないなどの不利益を考えると、安易に雇用保険未加入を選ぶことはおすすめできません。
扶養内で働き続ける主婦(主夫)パートの方でも、雇用保険に加入しておいたほうが安心なケースは多いです。収入や税金面の損得だけでなく、万一仕事を失ったときの生活保障や将来のキャリア支援まで含めて考える必要があります。雇用保険は働く人の将来の安心につながる制度ですから、「扶養内だから関係ない」と敬遠せずに制度をよく理解して積極的に活用することをおすすめします。
派遣でも雇用保険に入れる!安心して仕事を始めよう
派遣社員も条件を満たすことで雇用保険に加入でき、求職者給付や就職促進給付などの給付制度が活用できます。雇用保険加入による特定のデメリットはありませんが、所定労働時間を抑えたり、複数の派遣会社で勤務したりすることで、雇用保険に加入しない働き方も可能です。
雇用保険の加入を検討している方や迷っている方は、ワポティをご活用ください。ワポティでは、専任のコーディネーターが転職活動をサポートしています。自分に合った仕事を見つけたい方は、お気軽にご相談ください。
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